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「株式指数」を対象としたバーチャルな取引


前述のように日経225先物は海外市場でも売買されますが、国内での取引ルールは大阪証券取引所において決められています。

取引のルールなど単なる決めごとのように思われるかもしれませんが決して侮ってはいけません。

何しろその取り決めが相場参加者の行動を規制し、ひいては相場の値動きを支配することになるからです。要するに、ゲームに参加する前には必ずルールをすべて熟知しておかないとつまらない損失を被りやすく、反対にル−ルがすべて頭に入っていれば相場の流れをつかみやすいので利益が上がる可能性が高まるということです。


 はじめに「先物取引とは何か?]という点から説明しましょう。

大阪証券取引所のホームページには、「先物取引とは、あらかじめ定められた期日に、特定の商品を、現時点でとりきめた約定価格で取引することを契約する取引」と定義されています。要するに、Aという商品をいくつ、将来のある期日にいくらで売ります、あるいは買いますという約束を現時点で交わす契約です。

 先物取引の対象となる商品にはいろいろな種類があり、貴金属や穀物、原油、金利、債券などを対象とした先物取引が世界各地で行われています。その中で、日経平均先物取引は「株価指数先物取引」と呼ばれています。

大阪証券取引所の定義によれば、「株価指数先物取引とは、あらかじめ定められた期日に、現実の株価指数を、現時点で取り決めた約定価格で取引することを契約する取引」ということになります。

 ここで重要なのは、先物取引の対象となる商品が「株価指数]であるという点です。金とか小豆とか原油であれば取引対象としての現物が存在していて(必要ならば)現物の受け渡しが可能ですが、株価指数は単なる数字でバーチャルな存在でしかありませんから、売買を約束したところで実際に現物を受け渡すことなどできません。


 そこで株価指数先物取引では、現物の受け渡しなど想定せずに、「現時点で取り決めた約定価格]と「あらかじめ定められた期日」における「現実の株価指数」との差額をやり取りすることによって取引を決済します。

これが「差金決済」と呼ばれる清算方法で、株価指数先物取引のように現物の存在しない商品を売買する金融取引ではすべてこの方法で決済が行われます。


なお、現物が存在する商品を対象とする取引であっても、実需以外の取引であれば差金決済で損益を清算するのが一般的です。

 「あらかじめ定められた期日」とは「SQ(特別清算指数)算出日」、「現実の株価指数」とは「SQ(特別清算指数)」を指します。

SQについては後ほど詳しく説明しますが、要するに日経平均先物取引は、将来のある時点で決まるSQを、現在いくらで売るか、あるいはいくらで買うかという約束をしておいて、その損益をSQ算出日に決済しましょう、という取引なのです。

 ここで注目すべきは、最終的にはすべての投資家がSQ算出日に決済するという点です。これが個別株の信用取引では各投資家が売買した日から6ケ月目が期日となりますが、日経平均先物取引では各投資家ごとの期日ではなく、すべての市場参加者が同じ日に決済期日を迎えます。

いったん売買したらSQ算出日まで決済できないわけでは決してありません。

日経平均先物の相場は決済期日が到来するまでの間にも刻一刻と変化します。相場が変動すれば各投資家の損益状況も変化しますから、資金的余裕のない投資家が評価損を抱えた場合などには嫌でもポジションを閉じなければならない局面が生じます。

そのため、当たり前のことですが、日経平均先物取引ではSQ算出日が到来する前に反対売買を行うことができます。

反対売買というのは、「○月○目に1万円で1枚買います」という契約をした投資家が「○月○目に1万円で1枚売ります」という正反対の契約をすることによって、実質的にポジションを打ち消すことです。新規買いでポジションを持った投資家なら転売、新規売りでポジションを持った投資家なら買い戻し、という2種類の反対売買があります。

 反対売買を行うのは何も評価損を抱えた投資家ばかりではありません。売買後の相場変動に伴って評価益が発生した場合、その時点で反対売買すれば利益が確定します。ですから、新規買い、あるいは新規売りを仕掛けた後で相場が有利な方向へ動いときには、利食いのためにポジションを閉じようとする投資家が出るわけです。

 つまり、日経平均先物取引の売買には、SQ算出日まで待って決済する投資家と、損切りや利食いを目的にSQ算出日を待たずに途中で決済するという2通りの選択肢があるのです。このように、「あらかじめ定められた期日に取引する」というルールひとつをとっても、それが実質的に意味することは何なのかをきちんと押さえておくことが重要なのです。
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